研究プロジェクト

医療を『健康をめぐる社会の相互的作用』と捉え,映像を処理する工学者と,会話を分析する社会学者が救命センターの医療スタッフと協力して,救命医療の評価及び可視化を目指した研究に取り組んでいます.


ダミー人形を使った心肺蘇生処置例


研究組織

  1. 東京医科大学 救急医学講座
  2. 産業技術総合研究所 サービス工学研究センター
  3. 工学院大学建築学部

研究テーマ

  1. 『共有する医療』の実現 JST科学技術と社会の相互作用に採択されました】
    救命処置を要する患者は意識不明のことが多く,時間的な制約から通常の『説明と同意』は例外視されてきました.医療を情報共有に基づく当事者間の納得を目指すプロセスとみなし,これを『共有する医療』と表現します.救命救急医療においては,この医療の達成が必要とされており,本研究では情報処理技術とコミュニケーション分析の融合によって,市民参加を得て救命の現場における『説明と同意』のための新たな基本モデルの提示方法を明らかにします.

  2. チーム医療の評価
    救命医療では医師・看護師・技師・救命士が情報を交換しながら同時並行的に処置が進行しています.救急医療の最大の特徴は時間制約性であり,チームとしての熟練度は単に蘇生率や救命率という結果のみからは判定できません.本研究ではステレオカメラによって医療チームの動きを分析し,また会話分析と融合することによってチーム医療の新たな質的評価方法を明らかにします.

学会発表


H24年度
  1. 川島理恵・黒嶋智美・太田祥一・織田順・三島史朗・川原千香子・大西正輝・依田育士・行岡哲男,
    「『突然の死』に際した終末期の意思決定過程に関する会話分析」
    第40回日本救急医学会総会・学術集会 2012/11/13

  2. Kuroshima, S (co-authored with Kawashima, M.),
    Teachable moment in in-service training: Polar questions in the doctor-resident interaction in
    an emergency medicine, National Communication Association the 98th Annual Convention, Orlando, FL, Nov. 15-18.

  3. Kuroshima, S. Justification of legitimacy:
    Overridden activity orientations to temporal dimension of decision-making in a request sequence from medical hotline calls,
    American Anthropological Association the 111th Annual Meeting, San Francisco, CA, Nov. 14-18.

  4. 依田育士,大西正輝,川島理恵,黒嶋智美,織田 順,三島史朗,太田祥一,行岡哲男,
    “救命救急医療におけるチーム医療行為解析のための動線と会話の同時解析システム”,
    映像情報メディア学会誌 Vol.66, No.5, PP.J158-J166, 2012.5.

  5. 佐藤哲, 行岡哲男,
    “自然環境保全と救急医療 〜地域の生活者型研究者(レジデント型研究者)の大事さ〜”,
    第15回臨床救急医学会総会・学術集会 特別講演.

  6. S. Kuroshima and M. Kawashima:
    “Calling on behalf of a patient: The organization of hotline calls to ER”,
    107th Annual Meeting of the American Sociological Association, Denver, CO, USA, 2012.8.

  7. 黒嶋智美,
    “行為の組み立てと認識的態度―救命救急現場教育場面における質問連鎖をてがかりに−”,
    第30回日本社会言語科学会「会話の中の認識性ワークショップ」,東北大学,2012.


H23年度
  1. 江川香奈, 依田育士, 内田聡, 長澤泰, 川原千香子, 太田祥一, 行岡哲男,
    “多数傷病者受入れ時におけるトリアージ作業の所要床面積に関する研究”,
    日本集団災害医学会誌, Vol.16, No.1, pp.91-95, 2011.07.

  2. 江川香奈, 内田聡, 野田五十樹, 依田育士, 堀内義仁, 小林健一, 筧淳夫, 長澤泰,
    “病院の傷病者受け入れ潜在能力に関する分析”,
    建築学会 計画系論文集 No.669, p.2057, 2011.11.

  3. 行岡哲男,
    “現象学と救急医学”,
    救急医学会学術総会, 新宿, 2011.10.20.

  4. S. Kuroshima, and M. Kawashima,
    “Embodied emergency: Participation and progressivity in paramedic training sessions”,
    3rd Conference on Conversation Analysis & Clinical Encounters, York, UK, July 13, 2011.

  5. M. Kawashima,
    “Inviting a family member to the "last examination"; conversation analysis of telling a death in Japanese emergency room”,
    International Conference of Ethnomethodology and Conversation Analysis, Fribourg, Switzerland, July 13, 2011.

  6. 依田育士, 大西正輝, 川島理恵, 三島史郎, 織田順, 太田祥一, 行岡哲男,
    “救命救急医療におけるチーム医療行為解析のための動線と会話の同時解析システムの構築”,
    画像センシング展2011「第17回画像センシングシンポジウムハイライト発表」, 横浜, 2011.06.09.

  7. 江川香奈, 宮間最弓, 長澤泰, 依田育士,大西正輝, 織田順, 三島史朗, 太田祥一, 行岡哲男,
    “救急処置室内の医療従事者の滞留場所に関する調査−救急処置室の建築計画に関する研究−”,
    日本救急医学会学術総会, 新宿, 2011.10.18.

  8. 大西正輝, 依田育士, 黒嶋智美, 川島理恵, 東一成, 内田康太郎, 大高祐一, 織田順, 三島史朗, 行岡哲男,
    “「共有する医療」の実現に向けた救命診療ダイジェスト映像の自動生成”,
    日本救急医学会学術総会, 新宿, 2011.10.18.

  9. 黒嶋智美, 川島理恵, 太田祥一, 織田順, 三島史朗, 川原千香子, 大西正輝, 依田育士, 行岡哲男,
    “共通認識による交渉時間の短縮化:ホットラインにおける東京ルール前後比較”,
    日本救急医学会学術総会, 新宿, 2011.10.18.

  10. 依田育士, 大西正輝, 川島理恵, 黒嶋智美, 織田順, 三島史朗, 川原千香子, 太田祥一, 行岡哲男,
    “救急医療におけるチーム医療行為解析のための動線と会話の同時解析システムの実装”,
    日本救急医学会学術総会, 新宿, 2011.10.20.

  11. 川島理恵, 黒嶋智美, 太田祥一, 織田順, 三島史朗, 川原千香子, 大西正輝, 依田育士, 行岡哲男,
    “救急現場における医師−患者家族間コミュニケーション:死亡確認時の家族対応について”,
    日本救急医学会学術総会, 新宿, 2011.10.20.

  12. 依田育士, 大西正輝, 川島理恵, 三島史郎, 織田順, 太田祥一, 行岡哲男,
    “救命救急医療におけるチーム医療行為解析のための動線と会話の同時解析システムの構築”,
    第17回画像センシングシンポジウム,横浜, 2011.06.

  13. 楊智喬, 依田育士, 大西正輝, 織田順, 三島史朗, 太田祥一, 行岡哲男,
    “ER内における3種の医行為ジェスチャ認識システムの試作”,
    ViEW ビジョン技術の実利用ワークショップ, 横浜, 2011.12.

  14. 楊智喬, 依田育士,
    “ER内における3種の医行為ジェスチャ認識システム”,
    TXテクノロジー・ショーケース in つくば, つくば, 2012.01.

H22年度
  1. 行岡哲男,
    “教育講演3「他者の死の意味〜死に立ち会う者の視点から〜」”,
    第12 回日本救急看護学会学術集会, 2010.10.29.

  2. Michie Kawashima,
    “Negotiation Dynamics during hotline calls between medical professionals and dispatchers,”
    American Sociological Association Annual Meeting, 2010.8.14.

  3. Shiro Mishima and Tetsuo Yukioka,
    “A SYNTHESIZED RADICAL SCAVENGER, EDARAVONE AMELIORATES ENDOTOXIN-INDUCED PERMEABILITY INCREASE IN PULMONARY ENDOTHELIUM, BUT NOT IN ALVEOLUS EPITHELIUM”,
    The 69th American Association of Surgery Trauma, 2010.9.22.

  4. 川島理恵,
    “救急医療における「看取り」:医師−患者家族間相互行為の分析より”,
    医療社会学研究会定例研究会” 2010.9.25.

  5. 江川, 長澤, 行岡, 内田, 東, 川原, 依田, 大西, 筧, 小林,
    “多数傷病者受入訓練のトリアージにおける専有面積に関する調査”,
    第38回日本救急医学会総会 2010.10.9.

  6. 大西, 依田, 川島, 東, 東, 内田, 大高, 織田, 三島, 行岡,
    “「共有する医療」の実現に向けた救命診療映像の可視化手法の提案”,
    第38回日本救急医学会総会 2010.10.11.

  7. 川島理恵,
    “恊働環境における身体的動作に関する「修正」発話:救急隊訓練のビデオを用いた相互行為分析”,
    第83回日本社会学会 大会 2010.11.6.

  8. 川島理恵,
    “死亡宣告へと向かう家族への説明場面”,
    会話分析・エスノメソドロジー研究会 2010年 秋の研究大会 2010.11.8.

  9. 江川香奈, 内田聡, 長澤泰, 川原千香子, 太田祥一, 行岡哲男, 武田宗和, 関根和弘, 依田育士,
    “多数傷病者受け入れ訓練のトリアージポストにおける考察”,
    日本集団災害医学会総会 2011.2.12.

H21年度
  1. 大西正輝,依田育士,
    “動線の軌跡と滞留に着目した動作解析”,
    電子情報通信学会技術報告,PRMU2008-284, pp.293-298, April 2009.

  2. 大西正輝,依田育士,
    “ユビキタスステレオビジョンによる人の追跡とその評価”,
    電気学会研究会資料 情報処理・産業システム情報化合同研究会,IP09-25, IIS-09-94, pp.61-66, Oct. 2009.

  3. 土屋慶子,川島理恵,行岡哲男,太田祥一,三島史朗,織田順,川原千香子,大西正輝,依田育士,
    “病院前救護における時空間の文節とその連鎖的在り方に関する研究 ― ユビキタスステレオビジョン(USV)と会話分析をもちいて ―”,
    第37回日本救急医学会総会・学術集会,O-2-014, Oct. 2009.

  4. 川島理恵,土屋慶子,行岡哲男,大西正輝,依田育士,
    “ホットライン会話における救急搬送依頼の相互行為分析”,
    第37回日本救急医学会総会・学術集会,O-2-009, Oct. 2009.

  5. 川島理恵,行岡哲男,大西正輝,依田育士,
    “チーム医療の質的評価に関するステレオカメラと会話分析による方法論的検討”,
    第36回日本救急医療学会 Oct, 13, 2009.

  6. 土屋慶子,太田祥一,川島理恵,織田順,三島史朗,川原千香子,大西正輝,依田育士,行岡哲男,
    “病院前救護での傷病者家族に配慮したコミュニケーションとは?:終助詞「ね」の機能分析”,
    日本予防医学リスクマネージメント学会学術総会,P2-5, March, 2010.

  7. 川島理恵,太田祥一,土屋慶子,織田順,三島史朗,川原千香子,大西正輝,依田育士,行岡哲男,
    “ダラス・コールで何があったのか:依頼と情報共有の会話分析”,
    日本予防医学リスクマネージメント学会学術総会,P2-4, March, 2010.


H20年度
  1. 川島理恵,行岡哲男,大西正輝,依田育士,
    “チーム医療の質的評価に関するステレオカメラと会話分析による方法論的検討”,
    第36回日本救急医学会総会,平成20年10月14日(札幌市).

  2. 行岡哲男,織田順,依田育士,川島理恵,
    “救命センター初療室における診療スタッフの相互行為の分析 −ステレオカメラによる位置・速度・移動方向のリアルタイム解析−”,
    第36回日本救急医学会総会,ビデオシンポジウム,平成20年10月14日(札幌市).

  3. 行岡哲男,
    “医療における量的研究と質的研究のあり様について”,
    第5回日本質的心理学会,大会シンポジウム,平成20年11月29日(つくば市).

  4. 行岡哲男,坂本哲也,野口健二,内山徹,内田康太郎,深澤伸也,
    “PAD(Public Access Defibrillation)により社会復帰に至った院外心肺停止症例”,
    第386回東京医科大学臨床懇話会,平成20年12月8日(東京都).


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